study DTM

勉強とDTMそして読書-スタディーティーエム 

時代は一周回ってる、それも爆速で。

 時は2022年。バズるとかインフルエンサーとか言った言葉を聴く機会も多くなった昨今。人々の意識は常にスマホに向かっている。ドラマや映画は倍速視聴されるし、音楽は間奏やギターソロを飛ばす若者も多い。コンテンツの消費量が増加しているのだ。裏を返せば当然コンテンツが制作される量も増えている。このことは一億総クリエイター時代に差し掛かっていることを鑑みても明らかなことである。コンテンツの総量が指数関数的に増加していくこれからの時代において、モノを生産する我々はある種の分岐点に立たされているのである。すなわち、いいものを作るだけでは評価されるどころか知られることもなく、評価されたとしてもすぐに飽きられる。おごれるもの久しからずというが、数年前に一世を風靡したタレントやインフルエンサーはいったいどこへ消えたのだろうか。新規性?意外性?それだけで話題になれるわけではないのだ。しかし、悲観してはいけない。

 では今の時代はいったいどういう状況なのだろうか。このブログは音楽に関するブログであるから、以下で言及するのは主に音楽の話になる。こと音楽に関しては「時代は一周回ってる、それも爆速で」といえるだろう。音楽のシーンをある程度真剣に追い続けてきた人ならわかるかもしれないが、ダンスビートと称され全国各地のフェスで猛威を振るってきた四つ打ちの全盛期といえるのは2012年から2015年くらいまでだろう。2016年はシティポップと呼ばれる音楽群が急に流行って急に廃れた年である。有名バンドが出てきたものの、あっさり方向転換をしたり、フォロワーバンドもくるくると方向転換したり、わずかに生き残ったバンドたちもフェスでのあれこれで名前を聴くことは少なくなっていった。その後2017年は凪である。ほとんどこの年は何もバンドが台頭しなかった。しいて言うならばSNSを主戦場に過激な歌詞と拡散至上主義的なアイデアで名を広めたバンドがいくつもあったが、その当時のほとんどはもう名前も思い出せない(というか存在を思い出せない)ような感じで、今振り返ってみればあの時のブームは空虚なものに終始したのである。その後2018年ごろに出てきたミュージシャンが2020年ごろまでにヒット曲を出し新たな歌謡的なブームになった。時期を同じくしてある程度古い曲にも注目が集まるようになり、若年層にも昭和歌謡なども聴かれるようになっていった。2020年から2021年くらいまではサブスクのチャートで上位に登場した曲にスポットライトが当たる機会が多かったと言える。ヒットチャートが破壊されつくしたように思われたが、ここにきて期間ごとに視聴回数を計る方法も出てきたのである。2022年はどういう時代なのか。もちろんまだ今年は終わっていないし半ば程度ではあるが、おおよそ言い当てられるだろう。今年はショート動画の年である。最初はショート動画というのはTik Tokをやっている若者の間でしか注目されていなかったが、今ではインスタやYoutubeなどもかなり力を入れており、今年はショートにトライする人が多い印象である。もちろん短時間の動画であり、掴みのコンマ何秒かをモノにできるかですべてが決まる。これまでの動画と比べても秒数が短く情報量が多く、消費されるスピードが速い。こうしたなかで消費されるコンテンツにはいくつか定型パターンがあるが、こうしたもの以外にも音楽動画などもあるのだ。ではそこで消費されている音楽は何か?そう。あの2017年に流行っていたものが今各種SNSでよみがえっているのだ。より正確に言うなら、その当時の人たちはほとんど生き残っていない。新たな人たちがそこで似たようなことを繰り返しているのだ。それも、当時以上の爆速で。

 

 いろいろなタイプのミュージシャンがいるだろう。過激な歌詞で目と耳を引くバンド。面白い歌詞で覚えやすくするバンド。ストーリー性を演出するバンド。被り物など見た目にインパクトのあるバンド。そう、あの時と似た現象が再び広がっているのだ。当時はTwitterで、今はTik Tokで。ただ、一つ異なることがあるかもしれない。それは当時すでに知名度があったミュージシャンもブームの去った影響や不調などであまり名前を聴く機会がなかったのに対し、いまは名の知れた若手がちゃんとした曲を作り続けているし、2020年までのような新歌謡的なバンドが消えたわけではない。本物もちゃんと残り続けているのだ。そして、その本物たちもショートにトライしたり、いい音楽をやっている若手がそういったところから発掘されたりすることもある。これはいいことじゃないだろうか。

 

 たしかに空虚な音楽も流行しているかもしれないが、本物もある程度流行を見せている。これまでバンドやミュージシャンはファンと接する機会がインタビューかライブしかないといわれていたくらいだから、ネットでの戦いに弱いといわれてきた。しかし、ショート動画では音楽とセットになって拡散されることから、よく使われている曲に注目が集まったり、音楽としても新たな表現にトライするチャンスが生まれている。気に入った場合、ショート動画からショートではない動画へ向かう傾向も確かに見られる。ギターソロだって今は飛ばされているかもしれないが、ショート動画から未来のギターヒーローが生まれてくるかもしれないのだ。海外に目を向けてもずっと下火だったロックが再び注目されつつあるし、ポップパンクやハードロックが復活を遂げる日も近いうちにくるのかもしれない。今はまだこうした希望的観測にとどまっている。しかし、それらも時短時代の中で次第に洗練されていき、巡り巡ってよりいいものが注目される時が来るのだろう。そう、時代は一周回っているのだ、それも爆速で。

 

 

tommetal.hatenablog.com

tommetal.hatenablog.com

tommetal.hatenablog.com